住宅のリフォーム工事を考えているあなた、国や地方自治体のお得な制度があることをご存知でしょうか? 一定の条件を満たしたリフォームであれば、助成金・補助金の交付や、所得税の控除などが受けられます
例えば要介護認定を受けた方が住む家では、バリアフリーへの改修で最大20万円の支給、省エネ性能などをアップさせた住宅に最大限度額250万円(1戸)までの補助金が出ます。
減税についても、助成とほぼ同様の項目で所得税控除、固定資産税の減額措置などが受けられます。
リフォームをするなら、ぜひこうした制度を使って、工事費の負担を少しでも減らしていきましょう!
リフォーム助成制度ってどんなもの?
これから住宅をリフォームしようと考えているなら、バリアフリーや省エネ、耐震などに配慮した工事を考えてみてはいかがでしょうか。こうした工事を含むリフォームは国や地方自治体から助成金が支給されます。
バリアフリーや省エネ、耐震などを標準工事として積極的に取り入れることで、安全や快適さも手に入れることができます。国や地方自治体の助成金対象となる代表的なリフォームについてまとめてご紹介します。
家を長く維持するためのリフォームなら
家を長く維持するためにリフォームをするときに利用できるのが、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」です。
このリフォーム推進事業は、質の高い住宅の形成及び子育てしやすい環境の整備を図るため、既存住宅を長く保てるように配慮したり、3世代同居など複数世帯の同居によるリフォームを推進するための補助事業になります。
対象となる建物は、リフォームを行う住宅すべてです。既存の戸建て住宅、共同住宅いずれも対象になります。ただし、事務所や店舗等の住宅以外の建物は対象外です。
対象となる費用は、住宅の性能向上リフォーム工事費などです。他に複数世帯が同居しやすい住宅とするためのリフォーム工事費(3世代同居対応改修工事費)、インスペクション(建物調査)等の費用も補助対象になります。詳しくは次章で解説していきます。
震災から家を守るためのリフォームなら
地震などの災害から家を守るためにリフォームをするときに利用できるのが、「住宅・建築物安全ストック形成事業」です。
これは地震の際の住宅・建築物の倒壊等による被害の軽減を図るため、多くの自治体で実施している耐震診断・耐震改修に対する国からの補助事業になります。
補助の対象となる区域、希望、敷地、建物用途等の要件は、居住する市区町村によって異なっていますので、詳細は居住する市区町村に問い合わせるようにしてください。
介護のためのリフォームなら
高齢者の介護のためにリフォームをするときは、「介護保険法に基づく住宅改修費の支給」を利用することができます。
介護保険制度においては、要支援及び要介護1〜5の認定を受けた人が住む住宅改修(段差の解消や手すりの設置等)に対し、20万円まで(1割または2割自己負担)が支給されます。
補助対象の工事内容は決まっていて、手続き上のルールもありますので、介護保険の窓口の自治体で、ケアマネージャー(介護支援専門員)に相談しながら、計画を進めるようにしましょう。
各自治体においても「高齢者住宅改修費支援制度」「障害者住宅改造費助成制度」などが用意されており、介護保険制度と合わせて使うこともできます。助成額や条件などは自治体が決めていますので、直接確認してみてください。
地方公共団体の支援制度は?
地方自治体にもリフォームの支援制度があります。国の助成が個々の住宅の性能を上げて将来につなげるという意味合いであるのに対して、地方自治体は地元の経済を活性化することを目的とするものが多くなっています。条件として地元の建設業者を活用することを掲げている自治体もあります。
地域ごとに利用できる補助金制度ですので、耐震リフォームだけや省エネリフォームだけなど、個別のリフォームに対応する申請のしやすいものも多く用意されています。
耐震リフォーム、省エネリフォームのほかにも、耐震診断や耐震補強工事については、ほとんどの自治体で補助があります。具体的な工事は、断熱改修に関連するものや、省エネ性の高い給湯機器の設置、LED照明設置などがあります。工事費については、5万円から20万円程度を上限に工事費の一定割合が支給されます。
地方自治体では、少子高齢化の影響で空き家の急増という問題が起きて、空き家対策として戸建て住宅のリフォームに助成する制度が始まりました。
現在も「空き家バンク」と言う名称で都市生活者などを対象に、退職後は田舎でのんびりと暮らしませんかといったキャッチフレーズで、マッチングサービスを展開しています。
「DIY型賃貸」、空き家の公的活用など借り手が利用しやすい仕組みも用意され、リフォームへ助成金が支給されています。
リフォーム助成制度を活用するときのポイント
1章で概要を紹介しました。ここではそれぞれのリフォーム助成制度の内容や使い方について、さらに具体的にお伝えしていきます。
長期優良住宅化リフォーム推進事業はどう使うの?
長期優良住宅化リフォーム推進事業でリフォームの助成対象になるのは、大きく分けて、①性能向上リフォーム工事費と②3世代同居対応改修工事費の2つになります。
①性能向上リフォーム工事費
性能向上リフォーム工事費では、劣化対策や耐震性、省エネ対策など特定の性能項目を一定の基準まで向上させる工事が対象です。
特定の性能項目は、①構造躯体などの劣化対策②耐震性③省エネ対策④ 維持管理・更新の容易性です。
主な例としては、①が床下の防腐・防蟻処理、ユニットバスへの交換②が耐力壁の増設、屋根の軽量化③が断熱サッシへの交換、高効率給湯器への交換④が給水・排水管の更新などになります。
これ以外の性能向上工事としては、手すりの設置などのバリアフリー改修工事、外壁の塗装や屋根の張り替え、雨どいの交換といったインスペクションで指摘を受けた箇所の改修工事になります。
②3世代同居対応改修工事費
3世代同居対応改修工事費については、キッチン・浴室・トイレ・玄関の増設工事になります。リフォーム後にキッチン・浴室・トイレ・玄関のうちいずれか2つ以上が複数カ所あることが必要です。
補助率はこれらのリフォーム工事費などの合計の3分の1です。ただしリフォーム後の住宅性能に応じて3つの補助限度額が設定されています。「長期優良住宅認定」を受けた場合は補助率が高くなっています。
限度額は次のようになっています。
① 長期優良住宅(増改築)認定を取得しないものの、一定の性能向上が認められる場合は1戸あたりの補助限度額が100万円(3世代同居改修実施の場合150万円)
② 長期優良住宅(増改築)認定を取得した場合は同じく200万円(同250万円)
③ ②のうち、さらに省エネルギー性能を高めた場合は同じく250万円(300万円)
性能向上(省エネ・耐震など)
性能向上工事の中でも省エネに関するものは多数あります。
例えば、太陽光発電システムの設置、窓の断熱化(内窓やペアガラスなど)、外壁、屋根の断熱化、節水型トイレへの交換、高効率給湯器の設置(エコーキュートなど)、高断熱浴槽付きの浴室、LED照明器具、蓄電システムなどです。
これらの補助金制度は、国が支援するものと自治体が独自で設定しているものが数多くあります。
ここでは2018年に新設された補助事業の「次世代省エネ建材支援事業(次世代建材)」と、断熱リフォーム工事で申請できる「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業(断熱リノベ)」の2事業を取り上げてみます。
次世代建材は、高性能断熱パネル、潜熱蓄熱建材、調湿建材などの付加価値を持つ建材を使ってリフォームする場合、戸建てなら200万円、マンション(集合住宅)であれば125万円を上限にそれぞれ対象工事費の2分の1以内の工事費が支給されます。
具体的な例を挙げると1つの住戸の中で、水回りやリビングなどに「導入必須の製品」である断熱パネル、あるいは潜熱蓄熱建材を使って施工すれば、他の部屋へ任意製品のガラス、窓、玄関ドアなどの施工費用も補助対象になります。補助は導入必須製品と任意製品があることを覚えておいてください。
数字を挙げて説明をしてみます。戸建て住宅で改修する場合、導入必須の製品として断熱パネルが15万円、任意製品の窓が35万円だとします。そうしますと、15万円+ 35万円= 50万円となって、補助として支給される金額は25万円となります。
もう一つの「断熱リノベ」は、高性能な断熱剤や窓を使った断熱改修を支援する制度です。2018年度には断熱材や窓に加えて「家庭用蓄電池」と「家庭用蓄電池設備」が戸建て住宅において新しく補助金の対象になりました。
補助対象製品は、補助事業のホームページに公開されています。断熱パネル、ガラス、窓等の指定商品と家庭用蓄電池、家庭用蓄電池設備(電気ヒートポンプ式給湯器)です。補助対象経費は、高性能建材・家庭用蓄電池・家庭用蓄電池設備の対象製品と一体不可分の工事費になります。
いずれも補助対象経費の2分の1以内が補助率となります。ただし家庭用蓄電池は設備費が、毎時1キロワット当たり3万円または補助対象費用の3分の1のいずれか低い金額。工事費が3分の1以内または1台5万円のいずれか低い金額になります。
家庭用蓄電池設備も別途規定がありまして、材料費・工事費合わせて3分の1以内または1台5万円のいずれか低い金額となっています。
補助金上限は、戸建てが1戸当たり120万円、集合住宅が同15万円です。
耐震性の向上は、耐力壁の増設や屋根の軽量化という工事が代表的です。耐震補強には対し、制振、免震などの種類があります。木造住宅の場合には柱、梁、壁等を補強して揺れを抑える耐震が一般的です。
ブレース(筋交い)や耐震用金具を取り付けたり、外壁に耐震パネルを設置したり、屋根材を瓦から金属ルーフに吹き替えで軽量化するなどの方法があります。優先順位を付けることが大事で、木造軸組の一般的な住宅では、柱と梁の接合部分の補強が最も大切になるでしょう。
三世代同居
平成27年に閣議決定された「少子化社会対策大綱」の中で規定されている政策で、教育を含む子育ての経済的負担を緩和させるとともに、世代間の助け合いを図るための3世代同居・近居の促進などを充実させ、子育てしやすい環境を整備するのが目的です。ここで言う近居とは例えばUR賃貸住宅の活用などです。
3世代同居の定義は特にされていません。この事業は3世代同居など複数世帯の同居に必要となると考えられる設備の増設費用に対して支援を行うものです。
3世代同居に対応した住宅のイメージは、キッチン、浴室、トイレ、玄関のうちいずれか2つ以上が複数カ所ある住宅になります。例えば親世帯が1階で子世帯が2階にある場合、1、2階にキッチンがそれぞれ1つずつ、トイレも1つずつあれば支援対象となります。
この場合、浴室は1つでも大丈夫です。いずれも1つだったものを2つに増設したものだけが対象になります。もともと2つあったものを改修するだけで、数が増えなければ対象とはなりませんので注意が必要です。
対象となる主な工事は、キッチン、浴室、トイレ、玄関の増設で、本体設置工事、給排水・電気・ガス・換気工事、照明工事、内装・下地工事などです。玄関は外付けの直接階段も含みます。
細かく見てみると、例えばキッチンでは対象となるのは、台所流し、ガスコンロ、IHクッキングヒーター、コンロ代、作り付け食器棚、食器収納庫、食料品貯蔵庫、ビルトイン食器洗浄器の設置工事になります。
浴室では、浴槽、シャワー、浴室内の手洗い、タオル掛け、手すり、脱衣所の設置工事など。ユニットバスも対象です。
長期優良住宅化リフォーム工事と基本的には同様の補助額算定となりますが、補助対象とする工事が3世代同居対応改修工事だけの場合は、インスペクションを実施して、単価積み上げ方式とすることになります。
算定式は、国土交通省のHPなどに記述されていますが、リフォーム会社に確認すると良いでしょう。たとえば3世代同居だけの改修の単価積み上げですと、キッチン、浴室の設置がそれぞれ補助工事単価69万円、トイレが補助工事単価30万円、玄関が個別となっています。補助金はこの単価積み上げ額の3分の1です。
介護保険法に基づく改修
介護保険を使ったバリアフリーのリフォームは、ある程度幅広く使えるようになっています。どういったものに使えるかというと、家の中の段差をなくす、玄関や廊下、階段などに手すりをつける、車いすの使用にも対応できるよう扉を引き戸にする、トイレや脱衣所を広くする、滑りにくい床材に交換する、ヒートショック対策を施すといった工事があります。
介護者も介助者(家族やヘルパーさんなど)も共に安全で楽に介護できるようなリフォームがポイントです。
一例としてトイレについて考えてみましょう
トイレのリフォームで鍵になるのは一定程度の広さの確保になります。それは、車いすでも入れるよう想定するためと、介助者も一緒に入ることができるようにするためです。立ったり座ったりすることになるので、手すりを適切な位置に設置することも大切になってきます。
まず出入り口は段差をなくして車いすも通れるようにしておきましょう。扉は動作の妨げにならないように引き戸に変えることが望ましいでしょう。扉の鍵は万が一に備えて外からも開けられるようにしておくことが必要です。ペーパーホルダーは片手で紙切れるタイプを使うようにしましょう。
和式トイレの場合は洋式に変えることが望ましいです。高齢者が自宅で亡くなる原因の4分の1がヒートショックによるものという調査結果がありますので、小型ヒーターなどの設置も考えたいものです。
地方公共団体による支援制度
地方自治体が実施する住宅リフォーム支援制度は、検索のサイトがあります。支援の分類が耐震化、バリアフリー化、省エネルギー化などに分かれていて、チェックを入れると対象の支援方法が表示されます。
検索サイトは以下です。
http://www.j-reform.com/reform-support/
例えば東京都の中央区で耐震化、バリアフリー化、省エネルギー化の3つで補助にチェックを入れて検索してみると40件ほどの制度が表示されます。
トップに表示されているのは、省エネで制度名が「自然エネルギー機器等導入費助成制度(太陽光発電・ソーラーシステム)」です。項目を見ていくと支援方法は補助、対象工事は一般住宅の場合、太陽光発電システム、ソーラーシステム、共同住宅の場合は太陽光発電システムだけとなっています。
補助率は設置する機器によって限度額があり、一般住宅の太陽光発電システムは1キロワットあたり10万円で限度額35万円 など。発注者は区内に住所を所有している区民、区内に賃貸共同住宅を所有している区民や中小企業者等です。工事施工者には要件はありません。
他にも緊急輸送道路沿道等非木造一般住宅耐震診断助成、賃貸マンション耐震診断助成、特定緊急輸送道路変動建築物耐震補強工事助成、非木造一般住宅耐震補強設計助成、木造一般住宅簡易補強工事助成などいくつかの制度が表示されています。
ある地方自治体では幅の広いリフォームを対象にした「環境配慮型住宅リノベーション推進事業補助金」があります。
市民(もしくは管理会社)が所有する、同市内の住宅(分譲マンションの区分所有や賃貸を含む)において、省エネリフォームやバリアフリーリフォームなどを実施する際に活用できます。
主な対象リフォームは、
・外壁、屋根、天井、床、窓などの断熱改修
・太陽熱ソーラーシステムもしくは太陽熱温水器の設置
・節水トイレや高断熱浴槽の設置
・分譲マンションの共用部改修(LED照明器具設置/段差解消/手すり取り付け)、他です。
補助金額は
・工事の合計金額20~40万円までに対し、1~2割までを補助(区の耐震改修工事の補助金も併用するかどうかで変動)
・この内、節水トイレは1台につき1万8千円、高断熱浴槽は1台につき7万円の補助などとなっています。
リフォームによる減税制度も活用しよう
補助制度と同時に見逃せないのが減税制度です。耐震、バリアフリー、省エネ、同居対応、長期優良住宅化などで、所得税の控除、固定資産税の減額等の減税制度が受けられます。
リフォームをおこなう際には、ぜひ活用しましょう。
耐震
住宅の耐震に関するリフォームにおいては、現行の耐震基準に適合する改修工事を行うことで制度の適用が受けられます。
減税を受けるにはいくつかの要件があります。対象となる工事として、現行の耐震基準に適合する耐震改修工事であること、改修工事費用が50万円超であることという項目があります。50万円を超えるかどうかで固定資産税の減額の適否が変わります。
住宅などの要件としては、自ら居住する住宅であること、昭和56年5月31日以前に建築されたものであること、昭和57年1月1日以前から所在する住宅であることという要件があります。
現行の耐震基準(いわゆる新耐震)は昭和56年6月1日からスタートしています。この基準に適合するように改修するのが制度の対象です。
所得税は最大控除額で25万円、固定資産税の減額は2分の1を軽減することになっています。
バリアフリー
バリアフリーは、高齢者や障害者などが安全に暮らしていくためのリフォームが対象です。改修工事の種類は、通路等の拡幅、階段の購買の緩和、浴室改良、トイレ改良、手すりの取り付け、段差の解消、出入口のドアの改良、滑りにくい床材医療への取り替えなどです。
対象となる工事の要件は、バリアフリー改修工事費用から補助金等を控除した額が50万円超であること等になっています。
投資型減税として所得税が最大控除額で20万円、ローン型減税で所得税が最大控除額62.5 万円となっています。固定資産税は3分の1が軽減されます。
省エネ
既存住宅における省エネ性能を上げるためのリフォームになります。改修工事の種類はすべての居室の全ての窓の断熱工事、床の断熱工事、天井の断熱工事、壁の断熱工事、太陽光発電設備設置工事、高効率空調機設置工事、高効率給湯器設置工事、太陽熱利用システム設置工事などです。
控除額は、投資型減税の所得税で最大控除額が25万円、省エネ改修と合わせると35万円なります。ローン型減税の所得税は最大控除額62.5 万円。固定資産税の減額は3分の1が軽減されます。
同居対応
親、子、孫の世代間での助け合いがしやすい住宅環境整備する3世代同居のためのリフォームになります。改修工事の種類はキッチンの増設、浴室の増設、トイレの増設、玄関の増設です。
投資型減税の所得税で最大控除額が25万円、ローン型減税の所得税で最大控除額が62.5 万円です。
長期優良住宅化
省エネ性向上や長寿命化を目指したリフォームが対象になります。長期優良住宅の認定を受けることで所得税の控除、固定資産税の減額措置が受けられます。
改修工事の種類は、外壁を通気構造などとする工事、 小屋裏の換気性を高める工事、浴室または脱衣室の防水性を高める工事、雨樋を同期または外壁に取り付ける工事、土台の防腐または防蟻のために行う工事、給水管・給湯管・排水間の維持管理または更新の容易性を高める工事等になります。
投資型減税の所得税で最大控除額25万円(耐震、省エネ、耐久性向上の3つが揃った場合は50万円)、ローン型減税の所得税は最大控除額62.5 万円になります。固定資産税の減額は3分の2が軽減されます。
助成制度や減税の手続きをするときに注意することは?
審査が通りやすい工事ができるよう、リフォーム会社と相談しながらプランを決定していきましょう。
ここでは、助成、減税の条件や手続きの注意点について、まとめてご紹介します。
リフォーム助成を利用するときの注意点
まず押さえておかなければならないのが、国や自治体の補助を受けるためには、施工業者が請負工事の契約を締結して申請するものだということです。
ですから、補助制度に詳しくないリフォーム会社は避けた方がいいでしょう。事前の申請と同時に、リフォーム後にも必要書類の提出があります。こうした書類の準備は施工会社がほとんどやってくれます。経験のある会社を選ぶことが必要です。
また、自治体によっては地元から施工業者を選定するという要件をつけているところもありますので注意が必要です。
補助金の要件には、一定の期限内にリフォームに着手することを条件としている場合があります。いつ着手できるのかを必ず確認するようにしてください。
補助金によっては併用できないものもあります。複数の補助金が利用できるかどうかは事前に調べておく必要があります。
リフォーム減税制度を利用するときの注意点
減税制度を利用するためには、リフォームを行う前にどの減税制度が利用できるかリフォーム会社に確認していきましょう。制度の対象となる期間も決まっていますので、スケジュールの確認もしなければなりません。
簡単な流れを見てみます。工事契約の前の段階については、見積もりの確認と資金計画を立てます。次に減税制度利用の確認として、工事内容が要件と合致するかどうか検討し、どの減税制度を利用できるか、リフォーム会社にも確認しておきましょう。さらに申請書類や申請手順を確認します。
工事契約の段階では請負契約書や領収書の写しを確認した上で必ず保管しておきましょう。次に証明書の作成依頼をしなければなりません。各種証明書を作成できるのは建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関、住宅瑕疵担保責任保険法人、地方公共団体などです。
工事が完了した後はこうした必要書類を揃えて期日までに税務署や市区町村に提出します。例えば所得税の控除には増改築工事証明書や住宅耐震改修証明書などが必要になります。
リフォーム補助金を受けるための手続きと注意点
補助金を受けるためには工事前に「インスペクション」を実施することが必要です。インスペクションというのは、床、壁の傾きや雨漏り、シロアリの被害など日常生活上に支障があると考えられる劣化事象の有無を把握するための現況調査になります。
インスペクションで劣化事象が見つかった場合は、リフォーム工事と同時に補修を行うか、あるいは工事後に作成する維持保全計画に点検・補修等の対応方法と対応時期の明記が必要になっていきます。
施工段階と施工後に気をつけなければならないのが、リフォーム後の住宅が一定の性能基準を満たしている事を確認できなければならないことです。
必ず確保しなければならない事は、躯体構造等の劣化対策と耐震性です。躯体構造等の劣化対策は、柱、床などの腐朽、蟻害の抑制。耐震性は大地震でも倒壊しないよう耐震性を確保することになります。
他にも省エネルギー対策、維持管理・更新の容易性、高齢者等対策(共同住宅のみ)、可変性(共同住宅のみ)のいずれか1つ以上確保するという基準があります。
工事後は、リフォーム工事の履歴として工事内容を示す図面、工事写真等を作成し、保存することが必要です。住宅を長持ちさせるため、維持保全の期間(30年以上)について、少なくとも10年ごとに点検を実施できる維持保全計画を作成しなければなりません。
これが補助金を受けるための手続き上の大まかな流れと注意点になります。 インスペクションと言うのは初めて聞く方もいるかもしれませんが、補助金を受けるためということだけでなく、現在の住まいの劣化状況などを確認でき、腐朽・蟻害個所や雨漏りなど、住宅の痛んでいる部分を発見・補修することにもつながります。
最新制度に対応するために情報収集をしよう!
リフォームの補助金・助成金制度を受けるためには、情報収集は欠かせません。インターネットで検索すれば、多様な制度が出てきます。調べるとすでに終了している制度や、これから始まる制度もありますので、最新の日付の情報を探しましょう。
地方自治体の補助金は、住んでいる自治体の名称で必ず検索をしてください。自治体によって補助の内容や適用条件が異なりますので、注意が必要です。予算の関係で年度ごとに終了する制度も出てきますので、更新の情報が欠かせません。
補助の申請も年度の初めに申請期間が決まっていることがほとんどです。自治体に連絡をとって確認するか、ホームページ等で期間を確認し余裕を持った申請をしたいものです。省エネなどの対象製品は、新しい技術とともに更新されていますのでこうした情報も最新のものを入手しましょう。
リフォーム内容の優先順位を決めて助成・減税を活用しましょう
助成制度や減税制度を受ける大前提として、リフォームを手掛ける上での基本的な注意点ともなるどんなリフォームをしたいか、優先順位を決めるということはとても大切なことです。
耐震性能を向上させることは命を守るということにもつながりますので、耐震基準を満たしていなければ最優先でリフォーム項目に入れなければなりません。高齢者や障害者と一緒に暮らす場合であれば、バリアフリーが最も優先されるべきでしょう。経済性を考えた場合は太陽光発電などの省エネが視野に入ってきます。
このようにどんなリフォームをしたいかをしっかりと決めた上で、インスペクションによる現況も踏まえて他にリフォームの該当箇所はないか総点検しましょう。自宅の図面も用意しましょう。そして早めに建築士等の専門家に相談することも大切です。
優先順位が固まったら、全体の予算の枠を踏まえて助成、減税などの支援制度を可能な限り活用してゆとりを持った資金計画を立てましょう。
最適なリフォーム会社を選ぶためのポイントは?
自治体情報に詳しい地元リフォーム会社を選ぼう
地元の工務店であれば、災害時の対応や建築確認申請などで自治体の職員の方とも繋がりができていることが多いといえます。公共建築工事も受注しているかもしれません。近年は、自治体の施設のリニューアルによる再利用など少しずつ増えつつあります。
地元でリフォーム工事を数多く手がけている工務店であれば、日頃から補助事業の手続きにも精通し、自治体の情報や動きなどにもアンテナを張っているはずです。自治体によって助成金の仕組みなどが微妙に違うものです。
リフォーム会社選びのバロメーターの一つはこうした地元での実績になります。バリアフリー、耐震、省エネなど、ご自身の優先する内容を得意とする実績豊富な地元の工務店を探しましょう。
複雑な助成制度の知識や経験は豊富か
補助申請をするのは工事を請け負う工務店になります。クライアントとしてご自身も一定の情報を集める必要はありますが、専門家の正確でスピーディーなど助言は大切です。
建築工事の素人にとって、リフォーム工事の補助制度や減税はとても複雑に見えるものです。そこは経験を積んだ専門家がいるかどうかで、受けられるはずの補助が受けられないなどの事態も考えられます。ぜひ、経験豊富で専門知識をしっかりと持つリフォーム会社に依頼しましょう。
複数のリフォーム会社から見積もりを取りましょう
助成制度や減税制度に精通していて、技術力も持ち、最新の自治体情報を確保しているリフォーム会社が理想です。技術力は得意分野なども差があるかもしれません。
こうした中でより良い会社を選ぶには、複数の会社からの相見積もりを取ることです。ネットや口コミ情報、展示会イベント、訪問などで数社に絞り込み、相見積もりを取ってみましょう。
訪問時の接客対応、店内の雰囲気、様子なども大切な判断材料です。基本的なこともていねいに説明してくれる営業マンがいれば安心感も生まれます。ぜひ訪問時には、疑問点を書き出しておいて積極的に聞いてスッキリした状態で見積もりの段階に進むのが良いでしょう。
「家族の安心と安全を守る職人リフォーム店」スマシアの強み
新潟県上越市のリフォーム会社「スマシア」は、職人だけで組織する地元密着の企業です。新潟県上越市と中越地方に本拠を置き、県内のお客様との距離感が近いのが特徴です。実際に専門工事に携わってきた社員がほとんどなので、お客様の要望に対して、きめ細かな提案と施工ができます。
自社施工なので、中間マージンや経費をのせない分、良いものを安く提供できます。
地域密着型の会社です。長くおつきあいしていくことで、よりその良さを実感していただけます。
リフォーム助成金、減税のまとめ
先ずはご自身のリフォームプランをしっかりと決めて、そのうえで国や自治体の助成制度を調べて当てはまるものを取り入れていくのが良いでしょう。プランづくりでは、介護対策のバリアフリー、太陽光発電などの省エネ、安全対策の耐震などに助成があるという大まかな知識は持っておいた方が良いでしょう。