キッチンスタイルのなかで人気のL型キッチン。I型キッチンからのリフォームや使い方の工夫でさらに快適で暮らしに合ったキッチンにすることができます。
ここでは、L型キッチンの魅力とリフォーム時の注意点、人気メーカーのキッチンを紹介します。ご自身にピッタリのキッチンを見つけていきましょう。
L型キッチンの特長
まずはL型キッチンの特長と、基本的なスタイルをみていきましょう。
L型キッチンとは?
コンロの部分とシンクの部分が90度で向いあい、ちょうどアルファベットのLの文字のような形になっているため、L型キッチンと呼ばれています。
L型キッチンのサイズは以下の中から選ぶのが一般的です。
人気メーカーの一般的なサイズ(単位:mm)
A | 1800、1950、2100、2250、2400、2550、2700 |
B | 1680、1800 |
C | 650 |
L型になっていると、シンクとコンロの間を行き来する距離が短くなります。
コンパクトな空間のなかで、料理から収納まですべてがそろうような作りになっているのが特長です。
壁付けタイプと対面タイプ
壁付けタイプ
L字型の2面とも壁に接するタイプです。
キッチンダイニングと一体型で壁付けにするスタイルと、キッチンとダイニングを分け、独立させて壁付けにするスタイルがあります。
壁付け ダイニング一体型
壁付け キッチン独立型
壁付けタイプのメリットは、コンロやシンクが壁に接しているため、水しぶきや油のはねが周囲に飛び散らないことです。
壁は、拭くだけで汚れが落ちるシートを貼っておくことで、調理のあとに水拭きをすれば、お掃除も楽にすみます。
また、調理に集中したい場合や、大きな鍋を使う場合にも向いています。
ペニンシュラ型やアイランド型のオープンタイプのキッチンですと、向かい側に人がいるときに大きな鍋や強い火力を使うのは危険です。
壁付けのタイプは収納も取りやすくなります。
二面とも頭上に収納棚を設置できるので、洗い物や調理をしながら、目の高さや上に手を伸ばしただけで食器や調理道具を取り出すことが可能です。
ただし、2面が壁に接していると、圧迫感や閉塞感が出たり、キッチン自体が暗くなりがちです。
可能であれば、一面を窓側にするか、キッチンの横に勝手口や洗面室への入り口をつけることで、彩光を取り入れることができます。
対面タイプ
L字のうちの1面を壁に接し、もう1面はダイニング・リビングに向けてオープンにするタイプです。
ダイニング・リビングが見渡せるので、開放感があるうえ、コミュニケーションをとりながら調理や後片付けをすることができます。
対面タイプのL型キッチン
対面型のL型キッチンは開放感があり、明るさが出ます。
複数人でキッチンに立ったり、料理のお皿をダイニングにいる人へ手渡ししたりするのに便利です。
下準備やあと片付けのときなど、テレビを見ながらでも作業ができるので、主婦の方にとっても家事が楽しくなります。
ただし、対面側にシンクがあると、水が周囲に飛びやすくなります。
とくに、対面している方に水が落ちやすくなるので、上記の写真のように段差や仕切りをつけるケースも多くなっています。
また、対面側は頭上が開いてしまうため、収納棚の設置が難しくなります。
吊るタイプのキャビネットなどもありますが、せっかくの視界をふさいでしまうので、どちらがいいかは、使う人次第です。
L型キッチンのメリット、デメリット
人気のL型キッチンにもいくつかのメリット、デメリットがあります。
キッチンの他の型と比べてどんな点が優れているのかを見ていきましょう。
I型キッチンとの比較
導線が短く、動きが楽
I型は一列に直線で、シンクとコンロ、作業台が並んでいます。
そのため、調理をするときに、キッチンのはじからはじまでをスライドするように動くことになります。
スライドするのは、動きとしてスムーズに思いがちですが、キッチンの間口が180~250cmであれば、その間を行ったり来たりすることになるうえ、キッチンの横に冷蔵庫を置いた場合、さらにその距離が加わるので、実際に移動する距離が多くなってしまうのです。
その点、L型キッチンの場合は、シンクからコンロまでの導線が短くて済みます。体を横に向けて、2、3歩前に足を出せばすぐにコンロに行けるというような距離感です。
動く距離が少なくて済めば、それだけ疲れが少なく、作業時間を短くなります。
複数人での利用が可能
I型キッチンは、一人が横にスライドして動くことを想定しているので、背面に設置されたカウンターや収納キャビネット、壁との間隔が狭くなっています。
一方、L型キッチンの場合は、少なくともL字になった1辺の長さが、背面の壁やキャビネットとの間隔になりますので、I型キッチンに比べて広くなります。
そのため、2人、3人でキッチンに入った場合も、人と人がすれ違うことができるので、不便がありません。
ペニンシュラタイプとの比較
ペニンシュラタイプ、アイランドタイプは、シンクやコンロの前がオープンになっていて、人が近づくことができたり、対面にカウンターが設置されたりするタイプです。
会話をしながら、数人でキッチンを囲むことができますが、そのため、キッチンのなかが丸見えになってしまいます。
キッチンを使っている側は、ダイニングやリビングを見渡せるので、開放感があり、子どもの様子を見ていたり、お客様と会話をしたりしながら調理をすることができます。
しかし、その反面、前にさえぎるものがないため、水しぶきや油のはねが飛び散って、汚れやすくなります。
また、会話をしながら、あるいは家族の様子を見ながら、テレビを見ながらですと、調理に集中できないというデメリットもあります。
本格的に料理やお菓子づくりをしたい方、強い火力を使う調理や中華鍋など大きな器具を使う調理の場合は、ペニンシュラ型やアイランド型のようなオープン型よりも、L型キッチンで空間を仕切ったほうが集中しやすくなります。
ただし、ペニンシュラ型、アイランド型でも、キッチンを2列向かい合わせにして、コンロは壁側に設置するということで対処することも可能です。
L型キッチンのデメリット
十分なスペースが必要
L型キッチンを設置する場合、キッチンとして占める面積が広くなります。
ダイニング・リビングが狭い場合は、キッチンが余計に場所をとっているようになってしまいます。
とくに、I型キッチンからリフォームをする場合は、同じスペースにL型キッチンを設置できるかどうか、事前にリフォーム会社に相談することが必要です。
十分な空間がない場合は設置ができなくなるか、設置できても冷蔵庫や食器棚の置き場に困るなど、使い勝手が悪くなることも想定されます。
コーナー部分がデッドスペースになりがち
L字の角にあたる部分、いわゆるコーナーがデッドスペースになりがちです。
コーナーは、前に人が立って作業することができず、奥行きが出て手が届かない部分ができることも。
そのため、「どのように使ったらいいかわからない」という声をよく聞きます。
キッチンの下は収納スペースとして使えますが、角になっているため、どちらかの扉からしか出し入れができず、手が届きにくいという難点があります。
使用頻度の低い調理器具や洗剤のストックを置くなど、工夫して使うことが必要です。
L型キッチンのコーナーの使い方
L型キッチンの最大のデメリットともいわれるコーナー部分。L型キッチンを使っているけれど、「コーナー部分が空いてしまっている」「どう使っていいかわからない」という方も多いようです。
そこで、ここではL型キッチンのコーナーの使い方をご紹介していきます。
ご自身に合った使い方を見つけていきましょう。
果物などの食材を置く
朝に飲むジュースの具材として、ちょっとお腹がすいたときのおやつとして、果物が並べられていると便利ですね。
夕食の材料として買ってきた野菜を、調理する時間まで並べておけば、「買ってきたのに使うのを忘れた!」なんてうっかりミスも防げます。
キッチンのなかでも意外と場所をとる野菜や果物の置き場も、デッドスペースを活用することで、ディスプレイとしての効果も得られます。
キッチン家電を置く
キッチンで使う小さな家電の置き場もけっこう悩みの種。炊飯器やポットなどは収納スペースに専用の置き場が用意されていますが、コーヒーメーカーやミキサー、トースターなどちょっとした家電は、どこに置こうか迷ってしまいます。
それらをデッドスペースに置くことで、見た目もすっきりまとめることができますし、対面型のL型キッチンであれば、ダイニング側から使うこともできて便利です。
収納棚やラックを取り付ける
コーナーに収納棚を取り付けると、食器やグラスなど、さまざまな物をしまうことができます。
壁に沿って収納ラックをつけることで、調理に使う道具を並べてかけておくことができます。
コンロと近い場所にあれば、調理をしながらでも手が届くので、とても便利です。
味見をしたり、調味料を足したりするときなど、なにかと調理道具が必要になります。
ラジオやタブレット、レシピ本を置く
ラジオやタブレット、スピーカーを置けば、キッチンにいる時間でも音楽を聴いたり、タブレットでレシピ動画を見ながら、料理を楽しむことができます。
日頃、かさばりがちなレシピ本も、デッドスペースに並べておくことで、使いたいときにすぐに取り出すことができるうえ、インテリアとしてもおしゃれな雰囲気を演出してくれます。
L型キッチンにリフォームする際の注意点
いざL型キッチンにリフォームしようと思ったら、さきに考えておかなければならないことがあります。
これらを無視してリフォームを始めてしまうと、あとあと困ってしまうケースもあるので、しっかり確認していきましょう。
L型キッチンを設置できるスペースがあるか
キッチンリフォームで多いのが、I型キッチンからL型キッチンに変えるパターンです。
I型キッチンからL型キッチンに変える場合、L型キッチンを設置できるだけのスペースがあるかどうかが重要になります。
L型キッチンの場合、キッチン空間としての幅が広くなります。
対面型の場合やキッチンが独立している場合は、同じ場所にL型キッチンを設置することができるか、事前にリフォーム会社に相談しておくことが必要です。
また、キッチンが設置できても、冷蔵庫や食器棚など、それまで使っていた家電や家具がそのまま使えるかどうかも重要なポイントです。
キッチンスペースが狭くなってしまい、逆に使いにくくなってしまうことにならないように注意しましょう
ダイニングやリビングとの統一感があるか
壁付けでダイニングと一体型のキッチンの場合、ダイニングに十分な広さがあれば問題ありませんが、L型キッチンにしたせいで、ダイニングが手狭になり、それまで使っていたダイニングテーブルや椅子、キャビネットなどの家具が使いにくくなるケースもあります。
テーブルやキャビネットを置くことはできても、人が通れなくなったり、すれ違うことができなくなると、朝などあわただしいときに、余計な時間や気苦労がかかってしまい、負担になります。
家具を置くと同時に、人の導線もしっかり考えておきましょう。
また、キッチンだけを考えてデザインを変えてしまうと、それまで使っていた家具やカーテン、壁紙などとの統一感がなくなり、おかしな空間になってしまうこともあります。
キッチンリフォームを考えるときは、キッチンだけでなく、キッチンと一体化した空間全体のコーディネートを考えることも大切です。
壁付けから対面、一体型から独立型のキッチンへの変更は?
I型キッチンからL型キッチンにするだけでなく、キッチンのある場所を少し移動させたり、壁付けキッチンを対面型、あるいはダイニングと一体型だったキッチンを独立型にする場合も注意が必要です。
スペースは十分にあっても、床下の配管など、大掛かりな工事が必要になります。
配管がどのようになっているかは素人ではわかりませんので、リフォーム業者に事前に確認することが必要です。
キッチンを独立させる場合には、照明や換気、壁紙の張替えを考えることも必要です。
せっかくリフォームをするのであれば、できあがったキッチンやダイニングが、より快適で機能的なものになっていなければ意味がありません。
キッチン交換の費用だけでなく、総合的に見てどの程度の費用がかかるのかを、しっかり確認しましょう。
キッチンを新しく設置する場合は?
いままでなかった場所に新しくキッチンを設置するケースもあります。
リフォームで二世帯住宅にして新しく設置したり、2階にあったキッチンを1階に移動したり、フロア全体の間取りを変えるようなリフォームの場合です。
この場合、キッチンを設置するのも大きな工事になりますが、床や壁、照明とスイッチの設置なども必要になります。
また、キッチン周りに置く冷蔵庫や電子レンジなどの家電類は、使用時に音が出ます。シニアの方がいる部屋のそばにキッチンを置くと、音が気になって眠れないなんてことにもなりかねません。
キッチンの場所を移動する場合は、ごみ出しや掃除についても考えておきましょう。
キッチン周りで出るごみを持ち運ぶ距離が長くなったり、掃除機を持って階段を上り下りするなど、思わぬ労力が増える可能性もあります。
このあたりは、自分たちだけで決めずに、リフォーム会社の担当者にしっかり相談して、あとで困ることがないように配慮したリフォームにすることが大切です。
人気メーカーのL型キッチンをご紹介
各メーカーが用意しているL型キッチンには、機能やデザインが充実しています。
メーカーごとに特長や強みがありますので、ぜひ自分に合ったキッチンを探してみてください。
LIXIL(リクシル)
LIXILはキッチン専業メーカーだったサンウェーブが、住設機器や建材メーカーと統合してできた会社です。キッチンに強い同社が使う人の動きや好みに合わせて機能を充実させ、さらに居心地のよさも追及したキッチンスタイルを提供しています。
シエラ
好みに合わせてアレンジできるキッチンスタイル。
毎日を過ごすキッチンだからこそ、居心地のよい空間を目指し、どんなインテリアにもマッチするシンプルさと品質を重視しています。
アレスタ
テキパキと流れるように作業が進み、必要な道具にはすぐ手が届く、機能性抜群のキッチン。
みんなが自由にアクセスできて、盛り付けも、配膳もスムーズです。
家族が料理でつながるように、大切な家族の時間を演出しています。
リシェルSI
調理をする人の心と体の動きにフィットした設計で、使いやすさを高めた機能を盛り込んだ充実キッチン。料理がさらに楽しく、快適になるように配慮されています。
住まいと暮らしにフィットするデザインで、毎日がキッチンを中心に動き始め、暮らしがもっと快適になります。
クリナップ
システムキッチンのパイオニアとして、業界をリードしているクリナップ。
丈夫で長持ち、熱にも強いステンレスへのこだわりや、家具のようなインテリア性にこだわったデザインなどが人気です。
ラクエラ
キッチンは家具と考え設計されたラクエラは、インテリアの組み合わせを楽しむキッチンです。
木目柄・タイル柄・鏡面など、キッチンを彩る38色の扉カラーが用意され、ワークトップも5色のアクリストンやステンレスから自由に選べるので、自分だけの組み合わせを楽しめます。
ステディア
変わり続ける時代や暮らしにしっかりと寄り添って、発展させてきたキッチンスタイル。
心地良さを究め、流行に左右されず、時代を超えて愛されるタイムレスデザインを採用しています。
セントロ
ステンレスキャビネットキッチンの販売台数No.1を誇るセントロ。No.1ステンレスキッチンとして、歳月や世代を越えて愛用される品質と品格を備えています。
ガスコンロとIHクッキングヒーターを1台で使い分けられる新時代のコンロなど、あらゆる作業のムダを見直して、機能も収納もグレードアップし、使いやすくなっています。
Panasonic(パナソニック)
家電メーカーであるパナソニックは、独自の強みである先進技術を盛り込んだ機能的なキッチンを提供しています。
料理のしやすさとスタイリッシュなデザインを追求し、片づけやお手入れも楽にできるように工夫されています。
ハイグレードからリフォームに適したシリーズまで幅広くラインナップ。自分にピッタリのキッチンを見つけることができます。
リビングステーション Vクラス
料理も片づけもテキパキはかどる、シンプルで洗練されたスタイル。
パナソニックならではの先進技術を取り入れた、安全や環境に配慮した機能。納得の価格と使いやすさを併せ持つシステムキッチンです。
ラクシーナ
調理時間の短縮を追求し、便利機能を充実させたスタンダードスタイル
料理をもっとラクに、もっと楽しくというコンセプトで、「料理のしやすさ」を考え抜いて作ったシンプルスタイルのシステムキッチンです。
Lクラス
見た目だけの豪華さや便利さだけでなく。心が満たされる時間を提供するキッチン。
これまでのキッチンを超えて、理想の空間を実現する対応力、洗練された素材やデザイン、先進の機能により、自分らしい空間や、自分だけの使い勝手になじむ、新しいライフスタイルが可能です。
リフォムズ
主婦100人の声をもとに考えぬかれた、調理も掃除もこだわったスタイルで、サイズもスタイルもリフォームにぴったりのキッチンを見つけることができます。
不便な点を解決するだけでなく、「より良い住まい」にしていくため、実際に使うお客様といっしょに考えて生まれた、リフォームにぴったりのキッチンです。
L型キッチンの費用
一般的なキッチンの価格
各メーカーとも、キッチンのタイプを3つに分けて用意しています。
価格の期待に応えるために、シンプルタイプ、スタンダードタイプ、ハイグレードタイプに区分しています。
料理が好きな家族から、シニアだけの世帯など、それぞれの希望や生活スタイルに合わせて選ぶことができるので便利です。
また、L型キッチンは、I型キッチンに比べるとやや高めになりますが、ペニンシュラ型やアイランド型に比べると価格を抑えることができます。
機能性も高く、費用面でも幅広く選べることがL型キッチンの魅力です。
シンプル | スタンダード | ハイグレード | |
I型キッチン | 50~80万円 | 60~90万円 | 70~120万円 |
L型キッチン | 65~90万円 | 75~120万円 | 85~130万円 |
対面型 | 70~100万円 | 80~130万円 | 90~160万円 |
人気メーカーのL型キッチン価格
リクシル
シエラ | アレスタ | リシェルSI |
500,000円~ | 670,000円~ | 800,000円~ |
クリナップ
ラクエラ | ステディア | セントロ |
495,000円~ | 798,000円~ | 1,198,000円~ |
パナソニック
リビングステーションV | ラクシーナ | Lクラス |
500,000円~ | 700,000円~ | 900,000円~ |
●リフォームに特化した「リフォムズ」 650,000円~
L型キッチン まとめ
L型キッチンは機能性や収納面に加え、自分の好みでさまざまな演出ができるデザイン性もあわせ持っています。
毎日使うキッチンだからこそ、快適でお気に入りの場所にしたいですよね。
人気メーカーのL型キッチンで、自分らしさをとことん追求したキッチンに仕上げてみてはいかがでしょうか。